保険外サービスのビジネスモデル。電話会話型見守りサービスとは?第一回

保険外サービスのビジネスモデル。電話会話型見守りサービスとは?第一回

前回の記事では、保険外サービスにはどのようなニーズがあるのかをご紹介しました。ちなみにしたのリストのようなものがありました。

  1. コミュニケーション・人との関わりが欲しい
  2. 介護が必要になっても、「それまでの当たり前」を継続したい
  3. 喜び・楽しみ・やりがいにつながるサービスが欲しい
  4. 「仕事と介護の両立支援」など、介護者支援、家族の支援をして欲しい
  5. 要介護認定を受ける前では、家庭内労働力の代替=家族代わりになってくれる人が欲しい
  6. 要介護認定を受ける前では、「出かける場所」「参加するところ」が欲しい

今回の記事では1の「コミュニケーション・人との関わりが欲しい」というニーズに関連する事例を紹介したいと思います。

概要紹介。電話会話型見守りサービスとは?

電話会話型の見守りサービスは、独居の高齢者の自宅に、専門のオペレーターが電話をして安否確認をするサービスです。このサービスは基本的には高齢者に対するサービスですが、それと同時に高齢者のご家族に対して安否をお知らせする事がメインのサービスとなっています。申し込みも高齢者本人ではなく、そのご家族であることが多いと思います。

サービス自体はとてもシンプルで、

①高齢者の自宅に電話をかけて安否確認
②そのご家族にメールで報告。

となっていますが、まずは電話をかける仕組みから説明します。

電話をかけるのには、各企業によって方法が違うのですが、自動音声とオペレーターが対応する2パターンがあります。

自動音声の場合

自動音声では、「1週間に○回」の様な契約した回数だけ自動音声で電話がかかってきます。「体調はどうですか?」の様な質問に、プッシュ番号で「1、良い」「2、悪い」の様な方法で回答すると、その情報が契約した家族にメールで通知されます。

オペレーターの場合

オペレーターが毎日・週3回など契約した回数の電話をかけて、コミュニケーションを提供するサービスです。実際にマンツーマンで会話をするので、安否確認と合わせて「会話をする楽しみ」を提供できるところが最大のポイントです。離れて暮らす家族でも、電話を頻繁にするのは気が引ける場合もありますし、もしくは高齢者が遠慮して「電話しなくていい」と電話を断るケースも考えられます。その様な時にサービスとしてコミュニケーションを提供し、しかも安否確認・体調確認までできてしまう痒いところに手がとどくサービスになっています。

 

ドメイン分析をやってみます。

基本のドメインってなに?って方はこちらをご覧ください。

顧客の求めるものは?

(ご家族のニーズ)独居の高齢者の安否確認をしたい
(高齢者のニーズ)他人とのコミュニケーションがとりたい。

1つのサービスに対して、全く異なるニーズが同居している形になっているのが特徴です。

サービスのターゲットは誰?

ターゲットは、

実際に電話を受ける高齢者

そのご家族

になると思います。どちらかというと、メインのターゲットは電話を受ける高齢者ではなく、ご家族の方になるのではないでしょうか。

やはり、高齢者が誰かと話がしたいというニーズの為だけに、自ら「オペレーターサービス」の契約を結ぶケースは考えにくいですよね。「自動音声サービス」は安否確認のみに絞り込んだサービスで、「オペレーターサービス」は、より「詳細な様子確認」や「コミュニケーション」を提供していると言えるでしょう。

どんなサービスを提供するのか詳しく見てみます。

ニーズを実現させるための技術は、

自動音声

オペレーター

に分かれています。会社によって色々なサービスを提供しているので、一概にどちらのサービスを提供した方が良いということはなく、それぞれメリットデメリットがあります。

自動音声による安否確認


自動音声は初期投資に資金を必要としますが、オペレーターサービスの様に何人も担当者を雇う必要はありませんし、オペレーター人材の育成コストもかかりません。扱う個人情報も最低限のものになるので、情報管理コストも抑える事が出来ます。その分、低価格でサービスを提供する事が出来ます。

デメリットとしてはオペレーターの様にきめ細かなサービス提供が難しく、安否確認のみに留まるので、差別化が難しいサービスと言えるかもしれません。

オペレーターによるコールサービス

オペレーターが実際に電話をかけるので、オペレーターの人材確保が条件となります。オペレーターには一定のコミュニケーションスキルが必要なので、人材育成コストもかかってきます。オペレーターの社内資格制度を設けたりすることで人材育成に取り組む事例や、会話の内容をテキストに起こして提供したり、録音音声を提供する等の取組が各社で行われており、他社との差別化戦略につながっています。

デメリットとしては、運用コストが高くなる所にあります。オペレーターの人件費、設備投資、人材育成コストなど、自動音声に比べると運用コストが跳ね上がるといって良いでしょう。その分、価格も高く設定されています。

今回はここまでです。次回はもう少し掘り下げてみたいと思います。では!

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