福祉の世界での「ビジネス」「利益」「売上」などの単語のイメージはどの様なものでしょうか。
「人の命をお金で考えるなんて」「人の事よりも、お金が優先なの?」
といった声があちこちから聞こえて来そうです。経営者などの立場に立たなければ、その意味や重要性がなかなか見えてこないのが大きな要因と言えます。しかし、経営が成り立たなければ何も始まりません。
福祉サービスにも「経営戦略」が必要
全ての福祉サービスが当然のごとく公益のためにあるわけではありません。株式会社などの一般企業として、株主の利益を追求している会社もたくさんあります。では、その様な会社は汚い人たちの集団なのかというと、そんなはずはありません。お客様に満足してもらえる様に、むしろ良いサービスを追求しているとも言えます。売上を上げるために必要なことは「顧客満足」であり、お客様に喜んでいただくことが「利益」「売上」に繋がるからです。特にシニア向け事業などは、旅行やカフェ、アミューズメント施設やトレーニング施設などバラエティに富んだサービスをあの手この手で生み出しています。中高年向けエクササイズでおなじみの「カーブス」などは急成長していますよね。
最低限の単調なサービスを続けていては、福祉サービスの未来は明るいと言えないのではないでしょうか。そのためには、たとえ介護保険事業であったとしても一般企業と同じ様に「経営戦略」を立てて、戦略的に企業努力を積み重ねなくてはいけませんし、そうしている会社も多くあることでしょう。
戦略ドメインとは何か?
経営戦略を立てる上で大事なのは戦略ドメインです。これは本当に大事で、その企業の存在意義を決めるといっても過言ではありません。
なんだか難しそうに感じるかもしれませんが、仕組みはいたってシンプル。
この「誰に」「何を」「どのように」を決めるだけですが、この組み合わせの大切さは実際にドメインを策定してみると分かります。非常〜に奥深い。あなたの会社はどうでしょうか?
「誰に」「何を」「どのように」
「誰に」はどうでしょうか。高齢者かもしれませんし、障害者かもしれません。要介護者限定といった狭い範囲かもしれません。
「何を」は顧客ニーズです。「入居したい」「家族がいない日中を見てもらいたい」などがあるでしょう。「楽しいことがしたい」「健康に良いことがしたい」といった漠然としたものである場合も顧客ニーズと言えます。
「どのように」はそのニーズを実現するために、自分たちに出来ること。「独自能力」です。「楽しいこと」を提供するといってもあまりにも漠然としていて掴みどころがないですよね。自分たちの会社に出来て、他の会社には出来ないことは何でしょうか。そういった「独自能力」が差別化につながり、アピールポイントになります。
以上の3つがうまく絡み合って独自ドメインが完成します。このドメインが個性的で、面白くて、なおかつ誰に対しても魅力的なものであれば事業が成長する確率は上がります。しかし、そんな良いドメインはなかなか思いつかないからみんな苦労をするわけで・・。
ドメインを考えたことがなかったり、ちょっとあやふやになってしまった方は、紙とペンを用意してご自身の会社のドメインを描いてみてください。気軽な気持ちでトライしてみましょう。必ず面白い発見があると思います。
色々と経営戦略の事を書きましたが、次回はドメインについてもう少し掘り下げてみます。ではまた!