以前お話ししたリーダーシップの行動理論ではリーダーは生まれつきの才能だけではなくて、適切な行動を学ぶ事で理想のリーダーシップを発揮できるというものでした。福祉のリーダーシップではあまりに斬新すぎる革新的なリーダーシップばかりではなく、基本を抑えた堅実なリーダーシップも必要である事をお話ししました。あまりにも革新的でリスキーな事ばかり言う福祉サービスのリーダーに、あえて自分の生活を任せたいと言う方は、ある意味最強の投資家ですが・・
今回のコンティンジェンシー理論ですが、一言で説明すると・・
理想のリーダースタイルはケース・バイ・ケース
という事になります。
リーダーの素質は特性や行動で決まるのではなくて、リーダーの置かれている状況によって変わってるくるという考え方です。
では状況とはなんなのでしょうか?次のようなものがあります。
- リーダーの持つ権限
- チームメンバーとの人間関係(尊敬や信頼関係)
- 部下の成熟度
- 仕事の内容(定型的な決まった仕事か、否定形か等)
このような状況によって、最善のリーダーシップ行動は変わってくるということです。リーダーの持つ権限や人間関係は様々なので、最善のリーダーシップは一つではないのでは?という理論になります。
でも、漠然と「リーダーシップはケースバイケース」と言われてしまっては、なんと冷たいこと。身も蓋もありません。
フィードラー(Fiedler, F.E.)はそれを分かりやすく、「タスク志向型」と「人間関係志向型」に分類してまとめました。
タスク志向型
仕事のやり方や業務の定型化を重視するスタイルです
人間関係志向型
良好な人間関係によるチームワークを重視します
当初のコンティンジェンシー理論では、この型を判定するためにLPCや状況特性などの尺度を使って少し込み入った事をしていましたが、人間面倒くさいことはやりたくないものです。
現在は簡素化されて、シンプルな方法がよく採用されています。
下の図を見てください。
上の3つの問いに対して、良い・悪いで答えるだけのシンプルなものになっています。
例えば、リーダーとして地位を確立できていなくて、メンバーは指示に従ってくれず、メンバーとの人間関係も最悪で口も聞いてくれない。仕事もぐちゃぐちゃで何から手をつければ良いかわからないような、胃が痛くて胃薬がたくさん必要な状態だったとします。
そういった悪い状況には、「タスク志向型」リーダーシップを目指すという事になります。人間関係でどうこうというよりは、業務を回しタスクをこなす事を優先して現状を何とか改善していくようなイメージでしょうか。
良くもなく悪くも無い普通の場合は「人間関係志向型」。仕事内容ばかりに情熱を注ぐのではなくて、人間関係を重視してチームワークを築いていくといった感じでしょうか。
良い場合は悪い場合と同じ「タスク志向型」これは悪い場合とは意味合いが違います。
リーダーとして尊敬されていて、メンバーは教えを乞うてくる。人間関係も良好でプライベートな相談も気兼ねなくできる。仕事は整理されていて、うまく回って成果も上がっているような状態であれば、「より良い結果を出すためにチーム一丸となって頑張ろう!」と仕事中心に結果を求める事になるわけです。
もしあなたがリーダーの立場であれば一度自己分析をして見てはいかがでしょうか。
新しい良い気づきがある事を期待しております。