統制範囲適正化=スパン・オブ・コントロール
組織の仕組みを作るための、伝統的な組織論の5つの原則。
前回は命令一元化の原則をご紹介しました。
今日は5つの原則の4つ目。いよいよ後半戦です。
紹介するのは「統制範囲適正化の原則」です。
「スパン・オブ・コントロール」と同じ意味ですね!
これはそのまま読んでも、前回の「命令一元化」などと比べると少しわかりづらいとおもうので、どういう意味があって、どう役立つのかご紹介します!
管理できる部下のは結構少ない
●なんだか、リーダーがいっぱいいっぱい。
●リーダーは忙しく、部下の話を聞く余裕がない。
●挙げ句の果てに、「全部私に言われても!」「少しは自分たちで考えて動け!」と怒り出す。
なぜこの様な事が起こるのでしょうか。
今回紹介する「スパン・オブ・コントロール」の意味は、実はとってもシンプル。
●1人の管理者が管理できる部下の数には限りがある。
●その数は5〜7人。
という感じになっています。
福祉の業務で考えてみると、例えば・・
小さなデイサービスなどでは問題ない場合が多いと思いますが、規模の大きな施設などでは、管理者のキャパオーバーになっているところもあるかもしれません。
では、スパン・オブ・コントロールに従って組織を細分化すれば良いのでしょうか?
スパンオブコントロールはバランス感覚が大切
例えば、1つの福祉施設を想像してみてください。
施設内に50人の職員がいた場合、1人で全てを管理するのはなかなか難しいと思います。
だからと言って、スパン・オブ・コントロールに沿って、5人ずつに分けてリーダーを付けるとどうなるのでしょうか。
組織の細分化をしすぎると・・
下の図をご覧ください。
リーダーが10人必要で、10のチームに別れます。さらにリーダーを管理する上級リーダーが2人必要です。
これはこれで、チームが多すぎて統制がとれなくなりそうですよね・・・
トップの意思決定を一般職員に伝える時も、トップ→上級リーダー→リーダー→一般職員の順番になるため、1つの施設内としては、回りくどいというか、ややこしい感じになってしまいます。
スパン・オブ・コントロールは厳守する必要はない
こんな感じで、スパン・オブ・コントロールに則ると、組織が複雑になりすぎてしまう場合があります。
スパン・オブ・コントロールはあくまで参考にする程度にして、適切なチームの人数は状を見極めて決めるのが良いのではないでしょうか。
「あのリーダーは15人を1人で見させられてる。リーダー人材の不足で。」
というのと、
「あのリーダーは、風通しの良いフラットな組織を目指して、敢えて15人を1人で見てる。」
というのでは、同じ15人を抱える状況でも意味合いが全く違います。
また、主任などのリーダーが数名いて、5〜7人のチームに組織分けがされていても、頼りにならないリーダーばかりで、実質は1人のリーダーが全部のチームを見なければいけないといった状況もあります。
スパン・オブ・コントロールのポイントは、
1人のリーダーが管理できる人数は5〜7人。
組織によってもっと多く、もしくは少なくした方が良い場合も多くある。
スパン・オブ・コントロールはあくまで基本として。
ご自分の勤められている所ではどうでしょうか。
リーダーがいっぱいいっぱいだったり、「もう忙しすぎて無理だ」と根を上げている場合は、仕事量が多いだけでなく、チームの人数がスパン・オブ・コントロールを大きく超えているのかもしれませんね!